星を割いてしまう程巨大になる木
2010-04-29


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 ペプシコーラから、バオバブをモチーフとした「ペプシバオバブ」が、季節限定で5月25日から発売されるそうです。([URL]

 1749年、南フランス生まれの若い植物学者ミッシェル・アダンソンは、ヴェルデ岬に近いマドレーヌ諸島で、一本のバオバブを目にして、その異様さ、大きさに溜息をつく思いでした。
 やや寸詰まりで太腹の幹を持つその大樹は、周囲が30メートルにも達そうかという偉容を見せ、セネガル人が「千年の木」、すなわちバオバブと呼ぶのは、これに違いない、とアダンソンはすぐにわかったはずです。

 小学生から中学生の頃、切手集めに熱を入れた時期があって、上の写真はそのコレクションの1枚、マダガスカルの切手です。下に「MORONDAVA」の文字が見えますが、チュレアールに次ぐマダガスカル西部第2の町モロンダバのことで、バオバブの並木道があることでも知られています。枝葉が茂るバオバブの大樹と帆掛け舟、どうやらこれはモロンダバの紋章のようです。
 バオバブは12種類ぐらいあって、アフリカ大陸にはミッシェル・アダンソンが見たアダンソニア・ディギタータ(Adansonia digitata)の1種類だけで、そのほかはオーストラリアに1種類、残りはすべてマダカスカル産です。国章にバオバブを入れているセネガルと中央アフリカには申し訳ないですが、多種多様さも含めて言えば、マダカスカル島こそがバオバブの本場じゃないかと思ってしまいます。

 さて、アンダンソンは結局バオバブのある国で五年間も滞在して、こまかくそれを観察し、発表しました。のちにリンネがバオバブの属名をアダンソニアとしたのもそのためです。
 しかし西欧人がバオバブを発見しようかしまいかに関係なく、現地の人たちははるか昔からこの巨木を知り、様々な形で利用してきたようです。太い幹は旱魃をしのぐ貯水塔で、木の新芽はそのまま汁の具になるし、実は酸っぱいけれど、甘みを加えてデザートにもなります。先祖代々が何千年も近くに住んで、ずっとバオバブを見ているのだから、当然なのかも知れません。
 さすがコーラに混ぜて飲むことはしていなかったと思いますが。

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