先日、物の数え方が難しいと嘆いていました(
[URL])が、お世話になった方々からいくつか反響がありました。
前回とは角度が違いますが、家に置いてある二十数年前の古い雑誌には、こんな文章が載っています:
「男はつらいよ」シリーズの「翔んでる寅次郎」を見ていたら、結婚式場の会話に、「きょうはもう五組(ゴクミ)もあって......」というセリフが出てきた。
的確な風俗描写を見せる山田洋次監督のことだから、いかにも、いまの人の言いそうな言い方を、意識的に使ってみたのかと思う。
「五組」はもともと「イツクミ」とよんだ。ヒトクミ、フタクミ、ミクミ......の系列であることは言うまでもない。
たぶんいまでは「イツクミ」と言ったほうが怪訝され、「二組」が「ニクミ」と読まれてもあまり違和感がないぐらいです。和語の数詞が、あまり使われなくなってきたせいかと思います。
家を数えるのに、一戸、二戸はイッコ、ニコで問題はないですが、一棟、二棟なら、本来はヒトムネ、フタムネであるはずです。
それがいまやこちらも、イットウ、ニトウ......にすり変わってきたような気がします。
言葉は生き物なので、変わるのは仕方ないと思います。
ただ「お月様いくつ、十三七つ」と歌っても、一つ、二つ......の感覚が薄れては、意味さえわからなくなりそうで、それはそれで悲しいような気もします。
セコメントをする