絵のなかの人々、歴史のなかの人々
2009-12-01



 昔の庶民の生活を正しく知るのは意外と難しいです。
 普通の人々の日々の生活は平凡すぎて、あえてそれを記録しようと思う人は少ないからです。新聞や雑誌に書かれて後々まで残るのは、多くの場合、かなり特別な出来事だけで、当たり前のことは却って忘れられてしまう可能性があります。当ブログで「守貞漫稿」を取り上げたことがありますが、それも作者は浪花で生まれて長じて江戸へ移り住んだからこそ、京坂と江戸の風俗の違いに気づき、貴重な資料を残してくれたんだと思います。新幹線が1分の遅れもなく運行されるなど、われわれの時代でも、このような当たり前のことはニュースにならず、なかなかどこにも書かれません。

 事実を知るために、文字よりも絵がいいかも知れません。いまなら写真や映像がありますが、昔だと絵画ではないかと思いますね。
 例えば、中国の清院本「清明上河図」([URL]g)を見ていて、興味深い事柄がいろいろと画かれて、昔の庶民の生活が見えてくるので、楽しいです。
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 たくさんの観客が集まっていますが、特等席を手に入れるためにかなり危ない目を冒しているお兄さんも。

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 馬やロバに乗る人が多いですが、ここでは珍しく落馬した人も見かけます。

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 馬や牛などは普通ですが、ラクダはちょっと珍しいです。

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 絵には様々な店が描かれていますが、ここ左側にあるのは靴屋さんでしょうね。お客さんが足に合うかを試しているようです。

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 絵が小さくなってしまいましたが、川に向かってゲロしているようです。酒を飲む人は多いですが、いつの時代にも呑まされる人がいるのがわかって、おもしろいと思います。

[絵画]

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