【読後感】ジャンヌ・ダルクの実像(レジーヌ・ペルヌー著、高山一彦訳)
2007-01-15


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 先日カリール・ジブラン(Kahlil Gibran)についてちょっと書きました([URL])が、この哲人が生涯尊敬してやまないのは、キリスト、ソクラテス、リンカーン、そしてジャンヌ・ダルクの4人だそうです。
 前に記事にしたゲーム「Age of Empire II - The Age of Kings」([URL])のチュートリアルキャンペンも、ジャンヌ・ダルクの話を題材にしています。
 リュック・ベッソン監督の作品([URL])など、ジャンヌは、さまざまな角度、解釈で映画化もされてきました。

 それほど、ジャンヌ・ダルクはフランスで国民的な人気を得ているだけでなく、世界的に広く名が知られています。
 日本でも明治の始め以来、ワシントン、ナポレオンなどと共に日本人が見習うべき西洋の英傑として名前があがり、題記「ジャンヌ・ダルクの実像」の訳者によると、明治の末までにすでにジャンヌを題材にした単行本は、十数点を数えるまで至ったそうです。

 しかし、その多くは、歴史という形を型取った物語としての扱いであり、資料的な真実をあまり語っていないようです。
 僕にとっても、ジャンヌ・ダルクという人物は、(時代的それほど古くないのにも関わらず)、伝説のベールを通しでしか伺えなない、常に謎めいた存在でした。
 
 「ジャンヌ・ダルクの実像」の作者レジーヌ・ペルヌーは、ジャンヌ・ダルク研究所の初代所長にして、ジャンヌ関連の史料を世界的に集めてきた人物です。
 フランス人らしく、ジャンヌを支持する姿勢は明白にあるにせよ、この本は当時の資料、とりわけ処刑裁判と破棄裁判の証言を活用して、ジャンヌ・ダルクという人物の短く、激しい生涯の真実を、真剣にまとめた著作です。

 この本を読んで、ジャンヌ・ダルクは謎めいた存在でなくなったかというと、相変わらずは不思議な存在には変わりません。
 それでも、ジャンヌの生き様に触れて、その宗教的な主張と燃えつきぬ情熱は、少しは理解できるようになった気がします。
[読書・本]

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