「浮生六記」より
2007-12-05


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沈復の「浮生六記」を読み直した。
というより、最後まで、まともに読んだのは初めてかと思います。
岩波文庫の日本語訳、学生時代に読んだかも知れませんが、ほとんど記憶が残っていません。

ということで、特に好きな文を、数箇所だけ転載します。



君画我〓、以為詩酒之需。布衣菜飯可楽終生、不必作遠遊計也。

沈復の妻、林語堂が「中国文学史上最可愛的女人」と推している陳芸、素朴な田舎生活を楽しんでいるとき、夫に言った言葉です。
一応前触れがあって、時代が清・乾隆年間、まだ若い婦人が遠出しにくい、礼法の厳しい時代なので、作者が妻に「惜卿雌而伏、苟能化女為男、相与訪名山、捜勝跡、遨遊天下、不亦快哉」と言ったことがあり、それに呼応しての話です。
「布衣菜飯可楽終生」のところ、響きもよく、富貴浮雲の境地が伺え、好きです。


夏蚊成雷、私擬作群鶴舞空。心之所向、則或千或百、果然鶴也。

沈復の幼少時代の遊びというか、夏の蚊が飛ぶところを、鶴の舞いに見立てるところです。
ポイントは「心之所向」でしょうか?心にそう思って見れば、蚊も鶴に見えるということですね。
この想像力と遊び心、面白いです。


丑時潮始至、若雲峯万畳、巻海而来。...水怪搏風、金蛇制電、天柱欲折、地軸暗揺、雪波濺衣、直高百尺。

琉球に行って、大潮を見たときの話ですが、迫力のある表現ではないかと思います。
もちろん、このような名文はほかにも多数あり、決してこの部分だけではないですが、代表として。


五百年謫在紅塵、略成遊戯;三千里撃開滄海、便是逍遥。
 (whyさんのご指摘で、12/7 23時訂正)

作者沈復の作品、夢の中に作ったものだそうです。
白状すれば、これを読んで、はっとさせられて、この記事も半分以上はこの句を転載するために書いたようなものです。
ですが、「此中有真意、欲弁已忘言」というし、ここでは載せるまでとしましょう(笑)

[読書・本]

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